最終更新日: 2016/6/15

なぜ、ピコ秒レーザが選ばれているのか。

ナノ秒パルス 対 ピコ秒パルス

ミクロン単位またはそれ以下の微細な世界での加工に求められているのは、熱影響域(HAZ)を最小限に抑えた精密できれいな加工を行うことです。そのため、材料に対し非接触で熱損傷を回避することのできるレーザによる加工が有効となります。精密な穴あけ、スクライビング、切断などレーザによる材料加工には大まかに2つの基本的メカニズムに大別されます。
1つは、赤外線および可視光Qスイッチレーザを用いたレーザ加工(光熱加工)です。集光されたビームが空間的に、また単位時間的に強力な熱源として作用します。ターゲットとなる材料は急激に熱せられ、実際には気化、蒸発してしまいます。この方法による利点は、材料の比較的大きな体積を急速に取り除くことが可能だという点です。
代表的なレーザは、数kHzの繰り返し周波数で動作するナノ秒Qスイッチレーザなどです。さらに、ナノ秒レーザの利点としてあげられるのは、従来より技術が確立されており、ツールとしての信頼性が高いという点、かつランニングコストが抑えられる点があげられます。
しかし、厳しい要求ではまだHAZの領域サイズやデブリの多さ、また膜加工における層間剥離などが問題となるケースがあります。

光熱加工とアブレーション加工

もう一つのレーザ加工の方法に、アブレーションがあります。
アブレーションでは、レーザフォトンが直接ターゲット材料の結合を壊し原子化します。相対的に低い温度で実現されるプロセスであり、HAZも少ない。デブリも無く加工後の処理も最少で非常にクリーンな加工ができます。
UV光であればフォトンエネルギーが高いため多くの材料でアブレーション加工が可能です。したがってUV波長Qスイッチレーザによるアブレーションでは、さまざまな材料の除去が可能です。そして、ピコ秒などの短パルスレーザであれば、瞬間的にとても高いピークパワー(MW以上)を持つため、多光子吸収が発生し、材料の電子を励起させ直接原子結合を分解します。さらに、熱が拡散する時間よりパルス幅が短いため、熱影響が広がらずHAZ領域が発生する前に加工を終えることができるのです。
つまり、ピコ秒レーザによる加工は、長いパルス幅を持つレーザに比べ、材料を瞬時に蒸発させることにより溶融物の発生を低減させ、様々な材料に対して熱影響の少ない、精密な加工を可能とします。
さらにピコ秒パルスレーザは、高バンドギャップ材料(例:ガラスや特殊ポリマー)を含む様々な材料を加工できるという大きな利点があります。これらの材料は光吸収が低く、従来のナノ秒レーザでの加工が難しいが、ピコ秒レーザであれば材料を透過してしまう波長のレーザであっても、非線形吸収を誘導することで加工が行え、波長に依存しない加工ができます。
これらの理由から極短であるピコ秒パルスレーザが今選ばれているのです。

ピコ秒レーザが選ばれる理由

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どんなアプリケーションに有効なのか。

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ピコ秒レーザの波長別アプリケーション例

ピコ秒レーザーの波長別アプリケーションアイコン

ピコ秒レーザーの波長別アプリケーション

厚さ70 nmのSiN層の除去例

厚さ70 nmのSiN層の除去例
加工ドット径は50 um、毎秒100万ドットの加工スピード

厚さ20 umのシルバーに15 um幅のスロット例

厚さ20 umのシルバーに15 um幅のスロット例

用途に応じたピコ秒レーザ加工のアプローチ

ピコ秒レーザによる新たなアプリケーション例の一つに、スマートフォンディスプレイで使われる薄いガラスの切断があります。
これまでの機械的な方法では後処理が煩雑すぎるという難点があり、またガラス切断を得意としてきた従来のCO2レーザでは、強化ガラスは難しく、また薄すぎるガラスにもうまく対応できません。
このような非常に薄いガラスの切断にもっとも適しているのは、層厚全体を通して線状の欠陥を作り分離を可能にする、ピコ秒レーザによるカッティング手法があります。この手法では、厚さ50 umから3 mm程度までのガラス切断が可能で、またさまざまな種類の強化ガラスに対応します。
同様にピコ秒レーザは薄い金属の切断にも適しているといえます。たとえば、ステンレス、ハステロイ、ニチノール、チタンなどの材料を使用する医療用インプラントの製造や、carbon fiber reinforced polymer(CFRP) を使った構造部品の製造などでも実際に使われています。

350nmピコ秒レーザでCFRPに30μm幅溝加工を施した例

355 nmピコ秒レーザでCFRPに30 μm幅溝加工を施した例。
(出典:フォトマシニング社)

ピコ秒レーザによる各種加工とスループット例
材質 内容 要求出力 スループット
セラミック(t=1 mm) 100 μm穴加工 50W @ 1064 nm 1穴 / sec
PCB基板 φ70 μm×深さ
70 μm穴
25W @ 532 nm 1000穴 / sec
Si基板(t=200 μm) φ150 μm穴 50W @ 1064 nm 5穴 / sec
太陽電池パネル Si基板上のSiO2
またはSiN層の除去
15W @ 532 nm 200,000穴 / sec
ガラス基板上のITO膜 幅50 μm,深さ200 nm 50W @ 1064 nm >5m / sec
ガラス基板上の金属膜 幅200 nm
金属膜除去
40W @ 1064 nm 15cm2 / sec

精密性、材料適合性、スループット、ランニングコストなど、非常に幅広い能力のポートフォリオを提供

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パルス制御(バーストモード)でもっと高スループットな加工を実現

加工パラメータの能力を飛躍的に向上する方法として、数ナノ秒周期のパルス分離(バーストパルス)をつくることで、アブレーションレートを実質的に改善する方法があります。
バーストモードでは、たとえばシングルパルスを撃つ代わりに連続したひと続きのパルス群をつくることができます。このひと続きの連続したパルスが、同じ平均出力で比較した場合でも、より高いアブレーションレート(単位時間当たりの材料除去量)を可能にします。例えばシングルパルス時に比較し、繰返し周波数1 MHzにて5パルスを撃った場合、平均出力に差異はありませんが、アブレーションレートは5倍から10倍アップしています。(グラフ参照)

バーストパルスのイメージ

バーストパルスのイメージ

パルススプリットすることにより約20 ns間隔のパルス群を形成

パルススプリットすることにより約20 ns間隔のパルス群を形成

繰返周波数別の除去レート(バーストモード時)

この時、増幅ゲインはいくつかのパルスに分散されるため、ひとつひとつのパルスエネルギーはバーストモード時の方が低くなっていきます。パルス間隔が20 ns程度だと、材料が緩和されることなく過渡状態にとどまるため、バースト内パルスが低いエネルギーであるにもかかわらず、より多くの材料を除去できるのです。
バーストモードは短パルスの微細加工パラメータの能力を大幅に拡張し、可能性を広げてくれます。特に、鉄、タングステン、カーバイド、シリコンといった自由電子を持った材料に対して非常に効果的な結果が得られています。

また、例えば、ブラインドホールの表面粗さなどにおいて、50W出力のピコ秒レーザでバーストモードを動作させた場合、±60 mm3 / 分の除去レートが実現しています。低いアスペクト比(深さ/径)の応用では、ガラスにおいて20~60 mm3 / 分、ステンレス鋼において10 mm3 / 分、シリコンにおいて30 mm3 / 分、有機材やバイオ材において10 mm3 / 分を実現し、生産効率を提供します。

バーストモード時の除去レート一例

加工 スピード
ブラインドホール(表面粗さ) ±60 mm3/分
ガラス(低アスペクト比) 20~60 mm3/分
ステンレス鋼(低アスペクト比) 10 mm3/分
シリコン(低アスペクト比) 30 mm3/分
有機材、バイオ材料
(低アスペクト比)
10 mm3/分

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最新の産業用ピコ秒レーザはどんなモデルがあるのか。

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短パルスレーザ(ピコ/サブナノ/ナノ秒)ラインアップ

加工方法、加工スピード、レーザ出力の大きさなど、様々な観点でお客様に最適なレーザを選択頂く必要がございます。コヒレント社では、以下の通り豊富なラインアップより、お客様のニーズに最適な製品をご提案いたします。

次世代 産業用 短パルスレーザラインアップ ▲▲ ▲▲ Talisker Ultra/HE Talisker 500/1000 HYPER_RAPID_NX VYPER AVIANX Paladin MATRIX Helios Flare

各製品をクリックすると製品詳細ページをご覧いただけます。

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